仲良く喧嘩しな

仲良く喧嘩しな


喧嘩ばっかの盗賊と絵文字の話


「「は?コイツと任務?」」


奇しくも2人の声は重なった。まあ確かに府立呪術高専に通う盗賊と絵文字に合同任務が来るのはおかしくない話だ。

この2人の相性が最悪なことを除けば


かたや主人公気質で、周りの幸せと救う事しか頭になかった人間。

かたやアンチヒーローで、『見』えることから達観をしていた人間。

お世辞にも2人の相性は良いと言えず、実際に先日、坂野廻の騒動があった後の口論は殺し合いにまで発展しそうになったほどだ。

ただそのお陰で盗賊は一歩前に進むことができ、絵文字からしてもお互いを少しだけ見直していた


はずだったが…

つい先日も、なんならその前も懲りなかった。


「ざけんなヨウをモフるのは俺の特権だろーが!任務帰りで疲れてんの!!」

「だからそういうところが傲慢だって分からないのか?こっちも任務上がり。わからなかった?まだ盲目だね?」

(早く部屋でジャンプ読みたいんだが…石川も坂野も何争ってんだよ)


「というかお前、貸したハサミまだ返してないだろさっさと返せ」

「呪術師で収入もあるんだからそんなの気にすることでもないだろ ケチ臭い奴なんて彼女も離れてくよ?」

「それとこれとは関係ないだろ 縛りを守らない奴には天罰でーす」

「いや縛りじゃなかっただろ」「うぐっ」


「また媚び薬盛ったろ?!公衆の面前でいきなり礼佳にキスしたくなって抑えられなかったんだが?!良い加減にしろよ媚び薬使いの処刑人!」

「何のことだ?そうしたいと思ったのはあくまでお前の意思じゃないか」



「ポッキー!異論なし!」

「いやプリッツ以外あり得ないだろ!」


……見て貰って分かる通り、この2人は顔を合わせる度に些細なことで言い争いになっている。


そしてこの2人に転がり込んで来た任務は

「元呪詛師集団『Q』の幹部、一級呪詛師シャウ•エッセンの討伐」というもの。

一年半ほど前、五条と夏油により瓦解した「Q」だが、それなりの規模ではあったらしく残党が0ではなかったそう。


一級とも有る通りかなりの実力はあるものの、二級〜準一級相当の強さである2人ならば問題は無いだろうという配役である。もちろん2人の相性は除いての話だが。


任務へ向かう補助監督の車の座席で、沈黙していた2人のうち、片方が口を開ける

「坂野さ、あの時俺が伝書のトラウマを理解できてないって言ってたことについて教えて欲しいんだけど」

「ん?なんだあのこと?言葉通りの意味だよヒーローw」

「少しは真面目に聞いてみたけど聞き損だったよクソガキ!」


「あのー、シートベルト外して取っ組み合おうとしないでもらえます…?」

「「はい…」」


まあ道中もこんな感じで険悪ムードで。

そんなこんなで着いた呪詛師の拠点とされる建物を前にした2人。

「領域使って速攻終わらせるからカバーよろ」

「いやアンタの領域不完全だし呪力量もザコだから無理だろ 自己中乙」

「じゃあお前に決定打あんの?不意打ちしかできない能無しじゃん」

「だからその不意打ちからだって お前は陽動してろ」

「ハイハイわかりましたよ従います処刑人サマ」

「煽ったろ!今俺のこと煽ったろ どっちがクソガキだよ」



「なんだ?うるせぇな… ……!高専の奴らか また隠れ家変えねーとなぁ」


「「お前が騒ぐから!!!」」

「とりま見つかった以上不意打ちプラン無し!正面から二対一でボコすぞ」

「脳筋ムーブじゃん馬鹿なの?まあ人数有利だし否定はしないが」


(あれ…なんかコイツら喧嘩してる… 逃げるか)


「あいつ逃げる!もう拘束からな!領域展開『盗全与皆』!!」

「おい馬鹿さっき言っただろうが!」


戦闘、開始------


「よし、拘束完了。俺の作戦が合ってたじゃん」

「いや俺が被難拷拷で簡易剥がさなきゃ負けてたろ それとオマエ、最期に言い残す事は?」


「え…俺、こんな奴らに殺されるのかよ」


ザシュ



「はい終了。さっさと帰るぞ政」

「俺のお陰で勝ったんだからアルフォート奢りな紫苑」

「は?なわけ お前こそ俺にラムネ奢れ」

喧嘩しつつ呆気なく終わった任務。正反対な2人は、同じ帰路へと着くのであった。


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